
M君は、卒業式でピアノ伴奏をします。
先日のレッスンで、その伴奏をする曲を持ってきました。
じゃあ、まずは一回弾いてみて~、と言おうと思ったら、Mくんが
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・」というのです。
「うん、何かな?」
「今、学校でこの曲の練習をしているんだけど、指揮をする先生が見えなくて・・・。
椅子を高くした方がいいのかなー」
そうそう、ピアノを一人で弾くのと、伴奏で(誰かと一緒に演奏する)弾くのとは、けっこう違うんですね。
ソロで弾くのとは違った、問題点が出てくるのです。
特に、小学生の場合、まだ身長が高くないので、指揮者が見えない、あるいは見にくい(一部しか見えない)ということが起こります。
そういえば、むかーし昔、わたくしもそんなことを感じました。。。
「そうね、それも(椅子を高くする)一つのやり方ね。あともう一つ、椅子はいつもの高さにしたままで、譜面台を低くする(倒す)というやり方もあるわよ。学校で練習するときに、この2つのやり方を実験してみてごらん。Mくんが、いつもの同じように弾けて、しかも楽に安心して弾けるのは、どっちなのか?ってね」
「うんっ。それとね、みんなで歌の練習をした時にね、歌の人たちの声が、ちょっと遅れて聴こえるんだけど・・・」
「おおー、よく気が付いたね。いいお耳を持っているわね。そうそう、そういう風に聴こえるのよ。これって、実際に伴奏をしたことがある人にしか、わからないことなのよ。」
「歌の人に合わせちゃうと、どんどんおそくなっちゃうよね」
「そうなのー。ピアノ伴奏ってね、もちろん、みんなと合わせて演奏するんだけど、もう一つ大切なことがあってね、手を取って、こっちですよ~、って道案内をする役割もあるの。音楽を引っ張っていくことなんだけどね。だから、指揮の先生に合わせてね。歌の人の声に、あんまり聴き入ってしまうとしまうと、歌の人も、ピアノの人もずるずると遅くなっちゃって、指揮の先生が大変になっちゃうしね」
「うんっ」
前の先生が厳しくて、毎回泣いて帰ってきていたMくん。ピアノを辞めたいというM君を引き継いだ時は、あまりに繊細な子だったので、どうなる事かと思いましたが、それが今では立派に卒業式で伴奏をするまでになったんです。
いやー、よく頑張ってるなあ、Mくん。
おうちの方は、さぞ嬉しいでしょうね。
卒業式で、Mくんが立派に伴奏ができますように。。。
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