ピアノの先生ってどうやってなるの? (保存版)

2009年05月16日
この記事は、過去のいくつかの記事を再編集して、保存版として公開しています。


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「ピアノの先生って、どうやってなるんですか?」「ピアノの先生になるには、なにか資格とか必要なんですか?」

ピアノの生徒さんに聞かれたことがありました。・・・そうですよね、ナゾですよね。

始めにピアノの先生って・・・・、誰でもなれるんです。今スグにでも(笑)

資格ってないのです。なので、ピアノが弾ければ、誰でも、すぐにでもなれます。音大とか卒業していなくても。なんだか、自称って感じですね。

しかし、例えば「近所の、ちょっとピアノが弾けるお姉さんに、タダでピアノを教えてもらう」というノリでない限り、ピアノが弾けるだけでは、ピアノの先生と言いにくいのが実情です。信頼が得られにくいためです。

「ホントに弾けるの~?」「本当にピアノを教えられるのー?」などなど。

そのために、いわゆる「ハク」が必要となります。○○音大ピアノ科卒業などが、一般的な「ハク」ですが、他にも、○○ピアノコンクール 第○位 入賞や、海外に留学をして、○○音楽院に留学などの経歴です。

よくある街の音楽教室やピアノ教室のピアノの先生になる場合は、入社試験に受かれば、ピアノの先生になれます。でも、一般的に社員にはならないので、入社試験とは言わないですね。ピアノ科講師採用試験などと言っています。

この採用試験が受けられる条件があります。この条件は、楽器店によって異なりますが、下記の2点の条件がよく挙げられます。

音大ピアノ科卒業レベルであること
ヤマハグレード5級以上を持っていること

「音大ピアノ科卒業レベル」というのは、普通は音大生、または音大を卒業していることになりますが、楽器店によっては、「それと同等レベル」ということで、絶対に音大生や音大卒でないとダメとはならないようです。しかし、「同等レベル」の判断って難しいですね。ピアノの演奏を聴いて判断しているのでしょうか?

次に、「ヤマハグレード5級以上」についてですが、ヤマハのグレードは、「ピアノの生徒さん用」と「ピアノの先生用」とで大きく2つに分かれています。6級までがピアノの生徒さん用のグレード、5級以上がピアノの先生用のグレードになります。この、最低ランクの5級を持っていれば、とりあえず OK ということになります。(ヤマハのグレードについては、ピアノの先生が必要な検定の記事もご参照ください)。

また、このピアノの先生用のグレードは、「演奏グレード」と「指導グレード」の2つに分かれています。一般的に、演奏グレードだけで OK だと思いますが、楽器店によっては、両方という所もあるようです。

普通に楽器店の「ピアノの先生」になるなら、以上でよいと思いますが、「ヤマハの先生」になるなら、なるべく高いグレードをいっぱい持っていた方がよいですね。「いっぱい」とは、演奏グレードは、ピアノとエレクトーンとで2つあります。この2つに、先程の指導グレードを合わせて3つ持っているといい~ということです。

「ヤマハの先生」の場合、このヤマハのグレード何級をいくつ持っているかで、担当できるクラスが決まってくるため、入社後の仕事に、ものすごく影響が出ます。厳しい世界ですね。

ちなみに、ピアノ科採用試験では、もちろんピアノの実技試験があります。だいたい、みなさん、音大の卒業試験の曲を弾くようです。私もそうでした。また、初見演奏スケール(音階)もありました。これは、楽器店にもよりますが。楽典問題があるところもあります。

音楽以外では、小論文があったり、あとは面接ですね。

こういったことを経て、受かると、楽器店のピアノの先生になれるわけです。けっこう、長い道のりですかね。

そして... これは、実際に試験官をなさっている方から直接聞いた話すが、「どんな事があったとしても、遅刻したら、その時点で不合格」だそうです。電車の遅延なんか関係なく、不合格だそうです。電話連絡をしてもです。

でも、着いて早々に「はい、あなた、遅刻したから、もう不合格決定です」なんて言えませんよね。だから、一応、試験は普通にやると言っていました。


今度は、採用されてからの話です。

採用試験に合格してから、実際に仕事を始めるまで、音楽教室やピアノ教室によって、色々と違うようです。

私が所属している教室では、一応研修がありました。しかし、その大半が事務的な手続きの説明です。書類の記入の仕方や、組織の説明など。

ピアノの先生って、ピアノの教え方って習っていないの?」と疑問に思われるかもしれませんが、答えは「YES」なのです。 はっきり言ってピアノの教え方って習っていません

私は恥ずかしながら、実際にピアノを教え始めて、しばらくたってから気が付きました。「あれっ、わたし、ピアノの教え方って習っていない~」って。

私がピアノのレッスンをしている教室では、ピアノレッスンの研修が少しだけありました。教育実習のように指導案を書かされて、色々と言われるような研修です。あとは、実際にピアノのレッスンを見せてもらいました。でも、ちょっとだけですが。

実際に自分がピアノを教えている現場を誰かに見てもらって「その場合は、こうした方がいいかもね」とか、「ここは、よかったね」などの指導は、一切ありません。

しかし、私の友人が教えている音楽教室では、研修というもの自体存在しないそうですので、まだ良い方なのかもしれません。

ちなみに、街の音楽教室やピアノ教室、個人宅で教えているピアノの先生だけでなく、音大の教授もそうです。そのため、音大の教授の中でも、評判の良いピアノの先生もいれば、「何も教えてくれない」ピアノの先生もいました。

ピアノの先生は教え方を習っていないので、はっきりいってしまうと、ピアノの教え方は自己流なのです。

そのため、ピアノの先生になって1・2年は、実験みたいなピアノレッスンになってしまっていると思います。

「この教材を使うと、どうなるのか?」
「こっちの教材の方が良さそうだから、ちょっとあの子に使ってみるか?」

そのときに習っていたピアノの生徒さん、ホントにごめんなさいね、という感じです。

ピアノを教えることに慣れるのに、1年はかかります。
いきなり、「せんせい」って呼ばれて、自分の親くらいの年齢の方や、祖父母くらいの年齢の方に教えるのって、本当に戸惑いますからね。

これらに慣れてから、ピアノの教え方が板に付くまで、2・3年くらいはかかりますね。

そして、創意工夫して、自分の教え方を見つけて固めるまで、さらに1・2年。

その後、「今のピアノの教え方でいいのか?」「もっと良いピアノの教え方があるのでは?」と自分の教え方に疑問を持って、打ち壊して、新たにバージョンアップしたピアノレッスンをするのに、1・2年かかり・・・

こんな感じで、ピアノの先生は年月と共に、ピアノの教え方を身につけていくのです。
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この記事へのコメント
No title
私はいわゆる音大を出ていませんがピアノの先生です。ピアノは3歳から習ってはいました。アメリカにちょっと住んでいたことがあり、大学でMusic Education/Pedagogy(音楽教授法)を勉強しました。そのまえからピアノは教えていたのですが、いざ教授法を習ってみると目からうろこのことがたくさんあってびっくり。日本のピアノの先生は本当に「指導」は勉強していないんだなーと思いました。演奏は皆抜群に上手いと思います。だから生徒の指導も、願わくばそういう将来に向けてという形になっているようなきがします。でも、ほとんどの人がピアノは趣味なわけで、そういう人がいかに「音楽を好き」になって、「ピアノって楽しい!」思えるかという部分を伸ばすレッスンってあまりできていないと思います。「楽しいだけじゃ上手くならない」と言う先生もいますが、アメリカのレッスンは自分が習ったことも含め、とても楽しかったです。自分が弾けることと、指導のプロであることは本当は違うと思います。
Posted by 萩原裕子 | URL | 2009-05-18 [編集]
No title
コメントありがとうございます。
ピアノ指導について考えさせられました。

私自身も、どこかで書いた気がするのですが、入社(?!)研修で初めに「自分の習った通りに教えないでほしい」と言われたことがいまだに強烈な印象に残っています。

アメリカの教授法を、日々のレッスンでどのように活用されているのか、色々とお聞きしたいです。

Posted by ふーちゃん | URL | 2009-05-18 [編集]
No title
今日、イギリスのピアノグレード試験を受けてきました。その準備で忙しく、お返事が遅くなってしまいました。
まず音楽教育の方向性が違います。日本ではピアノ教師はピアノが上手に弾ける人を育てるのが仕事です。アメリカではピアノの生徒は将来のロックギタリスト、音楽評論家、指揮者など、全ての可能性を秘めているというのが前提です。実際そのような職業の人のほとんどが、かつてピアノを習ったことがあるそうです。ですから子供の指導に関しては、ピアノ固有のテクニックの細かいところにこだわりすぎるより、コードセオリー、アナライズ、ヒストリーなども含む幅広い知識をまんべんなく提供できなければなりません。クラシックに偏らず、ジャズ、ブルース、ホールトーンスケール、ペンタスケール、モード、変拍子などの曲も子供のテキストに入っているので、そのような知識も必要です。「私はクラシックだからジャズはちょっと」とはいえないのが現状です。また、F管の楽器の楽譜をコンサートピッチで弾くなどという指導もやります。日本ではピアノ関係者のほとんどが固定ドですが、移動ドと両方で楽譜が読めるのが指導者としては理想的です。アルファベット読みももちろん必要です。
一つの曲を課題に出す時、日本ではよく弾けたらそれで終わりになりますが、その曲に含まれる新しい知識やテクニックが何なのかを指導する側は必ず理解していなければなりません。それがはっきりしていれば、場合によっては全体がパーフェクトではなくても、それができるようになった時点でその曲を切り上げることも可能です。全ての生徒が練習熱心なわけではないですからね。ですから先生は生徒一人一人が今どれだけの知識を持っているかを常に把握していなければなりません。その生徒にとって初めての技術や楽典などが入った曲を説明無しに課題に出すことはよくありません。そのためのデーター管理も必要です。先生は一人一人のレッスンのプランを毎回必ず作成してからレッスンにのぞみます。生徒が自立して練習できるように、練習法自体を指導することも大切ですし、練習が嫌になった時の気分転換の方法なども教えることが大切です。
また、音楽の世界もいろいろな意味で日々進歩していることを考えれば、必要に応じてレッスンにPCや電気楽器も活用できなければなりません。そのようなこともすべて含め、アメリカの大学では「鍵盤教授法」という指導のもと、先生の育成が行われています。
Posted by 萩原裕子 | URL | 2009-05-28 [編集]
No title
コメントありがとうございます。
興味深く読ませていただきました。

とても細かくアメリカの指導法を書いていただき、
改めてピアノのレッスンのあり方や指導の仕方など、考えさせられました。

個人的には「練習が嫌になった時の気分転換の方法」がかなり興味大です(笑)
Posted by ふーちゃん | URL | 2009-05-29 [編集]
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